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久しぶりにメールで質問がありましたのでLensCal使用法の説明を兼ねて設計法を述べます。
まずLensCal.exeを立ち上げます。またLensCal.chmについては、 簡単な使い方−データ入力の必要な項目、 メインメニュー−データ表の説明、−ファイル−データファイルについて、−Open、−Save As、−ツール−収差図、−レンズ断面図、−焦点距離、 各種ダイヤログ、ウィンドウ−Bendingウィンドウ、−レンズ断面図ウィンドウ−表示−拡大、全体 などについて読んでおいて下さい。 質問ではアクロマートを組み合わせたPetzvalタイプについてでしたが、まずはアクロマートレンズの設計を行います。
ファイル−Open で\LensフォルダにあるAchrF10.ldtを読み込みます。このレンズは口径120mmf=1200mmなのでこれを希望のレンズに修正します。 有効径及び口径の数値をいったん全部消去し、No.0の有効径に希望の口径を入れます。次にツール−焦点距離 でダイヤログを立ち上げて希望の焦点距離を入れます。ツール−レンズ断面図 からレンズ付近を拡大してみるとレンズ厚が不自然になっているので、口径に合わせたレンズ厚になるようにメインウィンドウの距離の欄に適切な数字を入れます。マウスでレンズ断面図ウィンドウに戻ると変更が反映されています。 ツール−収差図−縦球面収差図で縦球面収差図ウィンドウを立ち上げます。赤線(C線)と青線(F線)が離れ、黄色のD線がやや斜めになっていると思いますので、ベンディングでこれを修正します。Data−BendingでBendingウィンドウを立ち上げます。像面湾曲等の入射角を尋ねるダイヤログが出たら適当な数字(1°など)を入れます。まずベンディング面1としてNo.2、ベンディング面2としてNo.3をそれぞれダブルクリックで指定します。Bendingのスライダーを動かして赤線と青線が上の方でクロスするところを探してからいったん選択解除ボタンを押します。次にベンディング面1としてNo.2、ベンディング面2としてNo.2を指定し、Bendingスライダーを動かして黄色線と黄緑線がほぼ垂直になるところを探します。最後に少し下の焦点距離調節ボタンを押し、ズレた焦点距離を戻します。OKでBendingウィンドウを閉じ、メインウィンドウのファイル−Save As でデータを保存しておきます。
もう一組のアクロマート群も同様の手順で設計してデータを保存します。この2群を組み合わせるわけですが、レンズ群挿入の機能はつけていないので他の方法で組み合わせた構成を作成します。一面ずつ手入力でデータを追加していってもよいのですが、簡単なのはExcel等の表計算ソフトで2つのファイルを合体させるやり方です。メモ帳でも可能です。2群を組み合わせたファイルをタブ区切りテキスト形式で保存し、拡張子は.ldtにします。 このファイルを読み込み、4面目No.4の距離の欄にはアクロマート2群目までの距離を入れます。 これで出来上がりのようですが、このデータについて縦球面収差図を表示すると各色の線が垂直になっておらず球面収差が残っていることがわかります。この補正にはさらにベンディングが必要です。
逆にPetzvalタイプであるNeoAcro.ldtを読み込んで、5面目以下、No.5〜8を消去して縦球面収差図を表示させると逆方向の球面収差が残っていることがわかり、単純にアクロマート2つを組み合わせただけでは球面収差を完全に除くのは難しいことがわかります。
以上、Petzvalタイプでも専用設計でないと収差を減らすことは難しい、という結果になりましたが、何も考えずに組み合わせてみただけですので、各アクロマートの選択やレンズ間距離の調整でアクロマートの組み合わせだけでも収差を減らすことができるのを否定するものではありません。
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